スターダスト
2007-11-15 Thu 16:57
スターダスト (角川文庫 (ケ7-1))

 『スターダスト』ニール・ゲイマン著

 食欲、スポーツ、読書、色々な秋があっという間に(ホントに短く感じた)過ぎ去り、いつの間にか初冬。一番嫌いな季節が今年もやってきた。とにかく寒いのがイヤ。それにより厚着になるのがもっとイヤ。プリーズ暖冬!
 そんなに寒いのがイヤなら手に汗握り心温まる本を読めばいい。そうだ『ハリー・ポッター』を読もう。しかし、『ハリー・ポッター』は全七巻と長い。中には上・下巻だったりする。幾ら面白くても、普段本を読まない人にとっては、プルーストの『失われた時を求めて』を薦められるのと大差がないのかもしれない。まるで「バベルの塔を登りましょう」、と促すのと同じようなことかもしれない。
 もし、そうであるならば「近所の雑居ビルの屋上に行きましょう」、と誘ってみようじゃありませんか。それならばアルピニストでなくても容易に登れる。そして屋上から臨める景色がエベレストやK2のそれと同じくらい素晴らしければ言うこと無し!
 というわけで、一冊で極上のファンタジーが楽しめるのが映画公開で話題の『スターダスト』。何はともあれ著者がカッコいい(在りし日のコージー・パウエルにどこか似ているな、と私は思う)。そして言わずもがな内容は素晴らしい。
 毛むくじゃらの小男、冷酷非道な王子、無慈悲な魔女、空船の船長とその乗組員、ユニコーン、極彩色の鳥、そして純粋にして勇敢な主人公と美しい流れ星。どのキャラクターも個性豊かで、魅惑的で蠱惑的で、時に微笑ましく、時に苦々しく常にドキドキさせられる。それにほのぼのともさせられる。そして時代背景の説明で「ディケンズが『オリバー・ツイスト』を連載していた」というのにはニヤリとなった。
 訳者あとがきには「『ハリーポッター』は子供向きだが、大人も読める。『スターダスト』は大人向きだが、子供も読める」、と書いてあっり、なるほど、上手いことを言うな、と思った。確かにどちらも時代世代問わず掛け値無しに面白い(ファンタジーに拒否反応が無ければ)。
 
 


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ハツカネズミと人間
2007-09-08 Sat 05:48
ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

『ハツカネズミと人間』スタインベック著

 日中戦争が始まった年に書かれたとは(憶え違いでなければ)……それを知らなければ到底思えないほど瑞々しい。根拠は全く無いがJ・アーヴィングも恐らくこの作品が好きなはず。だって後読感が似ている。しかし性質は全く違う。
 J・アーヴィングの作品には不条理が多分に流れているが、それを補うかのように優しさで包み込む温かいお湯のようなところがある。作品自体がハッピーというわけではないが、そこかしこに優しさが滲み出ている。J・アーヴィング先生は最高だ!
 同じくファースト・ネームがJhonのスタインベック先生。この作品には優しさもあり不条理がある。そして不条理が優しさを凌駕している。
 ジョージとレニーという好対照の二人。賢明で小男のジョージと暗愚で大男のレニー。なんとなくお笑い芸人のキャイーンを思い起こさせられる二人。レニーはウドに思える。しかしジョージは天野くんには思えない。彼には申しわけ無いが私の頭の中のジョージは痩せている。それでも二人の関係はキャイーンを思い起こさせられる。
 作品内容としてはページをめくる度にハラハラドキドキさせられる。しかしそのハラハラドキドキは燃え上がる灼熱のような熱さではなく、じわりじわりと炙られるような熱さで、後読感に浸るたびにジワジワと熱せられる熱さ。一瞬の局部火傷ではなく長時間に渡る全身火傷。そしてそう感じさせてもらえる小説が私は堪らなく好きである。
 カポーティやサリンジャー、太宰に堀辰雄。特にサリンジャー。彼は最高だ! 
『ハツカネズミと人間』に話を戻すとする。この作品において重要なのは始まりと終わりの位置づけではないだろうか。もちろん中間も大事である。中間が駄々くさになっていてはどうにもならない。『二十一世紀の精神異常者』の間奏に狂気のアドリブが存在するように!
 一個の人間。何が人間?
 
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スケッチ・ブック
2007-08-26 Sun 18:05
スケッチ・ブック (新潮文庫)

 『スケッチ・ブック』W・アーヴィング 著

この本を手に取った動機はハッキリと憶えている。
 J・アーヴィングを探す度に「JじゃなくてWじゃねえか。期待させやがって!」
 というようなことが頻繁に起こり、
「分かった、分かったよ。読めばいいんでしょ、読めば!」
 と、W・アーヴィングはな〜んにも悪くないのに上梓約200年後の極東で私は心の中で悪態をついて手に取った次第で御座いまする。
 しかも購入前に目次を見て「あっ! リップ・ヴァン・ウィンクルだ!」と小さく嬉々とし声を漏らしたんだから仕様が無い。
 私にとって「リップ・ヴァン・ウィンクル」は映画『野獣死すべし』で知っているだけだったので、まさかその引用元とこんな偶然の出逢いをするとは夢にも思わず、レジへと走った。
「偶然というのは廻り回って必然になるんだなぁ〜。一見関係無いような事柄物事でも無関係なんてことは、無意味なことなんてのはないんだ」、なんて哲学的なことをその時思ったかどうかは定かではない。
 さて、その「リップ・ヴァン・ウィンクル」は面白かったのか?
 答えは面白かった。この本の話の中で一番好き。それに「リップ〜」だけでなく「幽霊花婿」に「妻」、「ジョン・ブル」も秀逸。
 そしてなんといっても「スリーピー・ホローの伝説」に尽きる……と言いたいところだが、個人的には映画『スリーピー・ホロウ』の方が面白かった。しかし、原作というか土台(「スリーピー・ホロウ」の話はW・アーヴィングのオリジナルではなく一種の都市伝説のようなもの)を知った上で映画を観るのも一興ではないかと。

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売文稼業
2007-08-01 Wed 14:22
 今月の月刊プレイボーイに掲載されていた『売文稼業』(原題『The nib for hire』)という短編小説が面白かった。メチャクチャ面白かった。空前絶後に面白さだった。まぁ、最後のは言い過ぎですが。
 なんとこの短編の著者はウディ・アレン。あのウディ・アレン。そしてウディ・アレンだからこそ読んだ。買わずに読んだ。
 私にとって監督ウディ・アレンでも俳優ウディ・アレンでもなく、小説家ウディ・アレンというのは新鮮であり、そして新鮮でありながら瑞々しいのではなく燻されている、というかなんというか、あぁうぅ、その、あの、まぁ、うううぅ、頭がゴチャゴチャしてきた。
 ウディ・アレンらしいアイロニーやユーモアが利いていて、そして活字だからこその映像にはない魅力を如何なく…………ダメだ。まてめらンないや。
 まぁ、ウディ・アレンという男は想像力を具現化する能力が異常なんだろう。簡単に言えば天才。「天才」という一言では納まらない天才。あぁ、『BANANA』観たくなってきた。

 …………支離滅裂な文章だ。

 兄
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Continuum
2007-07-01 Sun 14:33
 「組織」に連勝。ヤツらは油断していた筈だ。というより、約一時間で某有名中古書店を三軒廻ったギネス級のペースに虚をつかれたのだろう。ざまーみろってんだ。
 まさか、『タイタンの妖女』以外にヴォネガット作品が売られているとは。何ともはや不思議なこともあるもんだ。だって今の今まで(昨日の昨日まで)『タイタンの妖女』以外にヴォネガットの中古本なんてお目にかかったことなかったもん。
 今さらだけどヴォネガットってマニアックなんだな〜、人気があってもカルト的なもんなんだな〜、と最近よく思う。
 『勝手にヴォネガット推進委員会会長兼勝手にハーモニウム愛護団体団長』のわたくしとしては、なんだかな〜、と思う次第であります。
 大型書店の書棚にずらーーーーっとヴォネガットの作品が敢然と並び、希代のニヒリストを賛辞するポップが掲げられていないのが嘆かわしいよ。っていうか選ばせてくれよ〜〜。どれにしようかな〜、って買わせてくれよ〜。行くところ行くところホントに置いてない。極端な作家だからしようがないかな。作風は常軌を逸しているし。けれど、思い遣りや優しさは溢れ出てるんだけどなぁ。それにしても、こないだ買った『デッドアイ・ディック』は1998年が初版で2007年に第二版ってのには一驚した(しかも6月15日付け。超最近じゃんか。はぁ〜)
 まあ、兎にも角にも僅かながらストックが出来たからいいんだけど。さあ、今からヴォネガットだ。さて、どれを読もうかな♪(って手許にある未読は2冊しかない。いや、2冊もある。はぁ〜)。
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