『スターダスト』ニール・ゲイマン著
食欲、スポーツ、読書、色々な秋があっという間に(ホントに短く感じた)過ぎ去り、いつの間にか初冬。一番嫌いな季節が今年もやってきた。とにかく寒いのがイヤ。それにより厚着になるのがもっとイヤ。プリーズ暖冬!
そんなに寒いのがイヤなら手に汗握り心温まる本を読めばいい。そうだ『ハリー・ポッター』を読もう。しかし、『ハリー・ポッター』は全七巻と長い。中には上・下巻だったりする。幾ら面白くても、普段本を読まない人にとっては、プルーストの『失われた時を求めて』を薦められるのと大差がないのかもしれない。まるで「バベルの塔を登りましょう」、と促すのと同じようなことかもしれない。
もし、そうであるならば「近所の雑居ビルの屋上に行きましょう」、と誘ってみようじゃありませんか。それならばアルピニストでなくても容易に登れる。そして屋上から臨める景色がエベレストやK2のそれと同じくらい素晴らしければ言うこと無し!
というわけで、一冊で極上のファンタジーが楽しめるのが映画公開で話題の『スターダスト』。何はともあれ著者がカッコいい(在りし日のコージー・パウエルにどこか似ているな、と私は思う)。そして言わずもがな内容は素晴らしい。
毛むくじゃらの小男、冷酷非道な王子、無慈悲な魔女、空船の船長とその乗組員、ユニコーン、極彩色の鳥、そして純粋にして勇敢な主人公と美しい流れ星。どのキャラクターも個性豊かで、魅惑的で蠱惑的で、時に微笑ましく、時に苦々しく常にドキドキさせられる。それにほのぼのともさせられる。そして時代背景の説明で「ディケンズが『オリバー・ツイスト』を連載していた」というのにはニヤリとなった。
訳者あとがきには「『ハリーポッター』は子供向きだが、大人も読める。『スターダスト』は大人向きだが、子供も読める」、と書いてあっり、なるほど、上手いことを言うな、と思った。確かにどちらも時代世代問わず掛け値無しに面白い(ファンタジーに拒否反応が無ければ)。